美しいものが美しいと思える心

投稿日時 2009-11-30 4:39:39 | トピック: コラム



 ある日ピアノのM先生が「この本、先生がいつも言われているような事が書いてありますよ」と春山茂夫氏の『脳内革命』という本を持って来て下さいました。

 それはとても分かりやすく読みやすい本でした。

 簡単に説明すると①何でもストレスが体には一番悪い。いやな事は考えない。いつも美しいものや楽しい事を想い浮かべて瞑想する。そうすると右脳から脳内モルヒネがたくさん出て、体の調子がすべて良くなる。人間本来、病気をするようには作られていない。この①の他に②軽い運動、③新鮮なものを食べるように気を付ける等々、この三つを心がければ人間150才まで病気をせずに元気で生きていられるはず・・・というものです。

 やっぱりそうなんですね。人間いつも左脳の知識で生きるのではなく、右脳の感性を使って生きていればすべて間違いがないのです。

 勿論、知識も大切なもので、沢山あるにこしたことはありません。でも心も体もリラックスさせて、いきいき生きるには右脳がとてもとても大切な役目を担っているのがよく分かります。

 では、右脳をいつも使える習慣をつけるにはどうしたらいいのでしょう?
それは私達がピアノ音楽を通して、いつも子ども達に教えようとしている事なのです。常に美しい音楽に接するようにして、美しい物を美しいと思える心を幼い時から育てなければいけないのです。

 人間は本来、自然に美しいものを見たり、聴いたり、気持ち良い香り、美味しい食べ物、心地よい感触のものに触る事、みんな分かるようになっています。でも今の時代は、かなり子ども達のまわりの親・先生が気を付けてあげないといけません。

 身の回りにいろいろ不自然な悪いものが転がっています。不自然な悪いものと付き合っていると、昔の人が『朱に交われば赤くなる』と言ったように、いつの間にか生まれつき本来の感性が損なわれて美しい本物が『美しい』と分からない人間が育ってしまいます。

 音楽に関しては、幼い時に世界最高の芸術家の演奏を聴かせることです。私達、ピアノ科では、ピアノのレッスンをするだけが教育ではなく、子ども達に美しい演奏を美しいと感じられる教育のため、世界最高レベルの人達のCDを聴くことと、そういう人達のコンサートに行くことを、音楽を通して人間の教育をするという考えのもとでこの数十年続けてきました。

 その成果があって、この頃では一応有名な外国のピアニストでも、演奏が悪いと松本のピアノ科すべての子ども(幼・小・中・高)が『悪い』と分かるようになっています。

 この間も9才の女の子の母親が「次に勉強する曲なので毎日聴かせようとしたハイドンのソナタのテープをどうしても嫌がって聴かないんです。どうしたらいいでしょう?」と相談してきました。それを弾いているピアニストを調べてみたらあまり演奏の上手でない人でした。

 私はすぐに分かりました。子どもは感性で聴くので、誰にも説明されないでもその演奏が良くないのが分かるのです。それで名演奏家 リリー・クラウスの弾いているテープをダビングしてあげましたら、もう何も言わないで毎日楽しく聴いているそうです。

 子どもは、左脳の知識が少ない時代で大人よりずっと右脳を使う事が上手です。人生の中で、もっとも素晴らしい神に与えられた時代を生きています。美しいものをいつも想い浮かべられ、感動できれば体も心も健康に過ごせるのです。

 美しいものが美しいと分かる心、是非すべての子どもに育てたいものです。【K】(1996.11.18.掲載)





才能教育研究会ピアノ科にて更に多くのニュース記事をよむことができます
http://newsletter.wiss.jp

このニュース記事が掲載されているURL:
http://newsletter.wiss.jp/article.php?storyid=70