厳しさ!
投稿日時 2008-9-27 4:30:43 | トピック: コラム
| 我が家の子ども達二人が幼かった頃、心配性の私はよく考えました。それは『もし私が病気や事故等で突然死んでしまったら、子ども達はどうなるのだろう』という事でした。
そして、それを考えると心は心配で一杯になります。大学を卒業するまでの費用やお金にかえられる物を残せば・・・と一瞬考えましたが、お金や物は何か事が起こると無くなってしまうという事を、いやという程思い知らされている私(1945年の終戦)にとって『それは無駄』とすぐ分かります。
そうなると、どんなに困った事が起こってもそれに対応して生きてゆける強い人間を作るよう心掛ける他に方法はないと思いました。
思えば昔の明治生まれの親達は、生活する上での行儀・作法・礼儀等々、非常に厳しかったように思います。そして子ども達は辛い思いをして、一人前の人間に人間形成されるのです。親にとって子どもは可愛いので可愛がってしまう方が楽なのですが、子どもは厳しく躾けなければいけません。 それが本物の親の愛情です。いつ一人になっても強く生きて行けるように厳しく厳しく育てるべきです。親ってなかなかつらい厳しい仕事なのです。
ある日、東京から毎週松本までレッスンに通っているMさんが面白い話をして下さいました。「動物学者が書いた本を読んだら野良猫と飼い猫の脳の違いが書いてあって飼い猫の脳を1とすると野良猫の脳は10倍大きい」とのこと。脳は大きい程利口だと言われています。どうして飼い猫と野良猫がそんなに違ってしまうのでしょう。
飼い猫には毎日々々美味しい食事が、黙っていても用意されます。人間と一緒に安全な家に住み、良い寝場所を持っていて何の苦労もせずに生きていかれます。
その反対に野良猫はどうでしょう。生まれた時から生命の危険にさらされています。(松本市の中心から離れた所では、トンビに狙われるそうです)赤ちゃんの時には母親のお乳で守られるでしょうが、少し大きくなれば自分で一日の食料を探さなければいけませんし、雨つゆしのぐ住まいも、飼い猫に比べればひどい場所で暮らさなければならないでしょう。
その上、野良猫はいつも悪者で皆からいじめられます。要するに子どものときから大変な苦労をしなければなりません。それで毎日の生活の知恵から、脳が発達し利口になるようです。
ここで思い当たるのは、我ら人間の子供達の事です。戦後(1945年)アメリカが日本人の精神があまりに強すぎる、それがあの侵略戦争につながったとの思いから、その精神力を無くすため核家族になるよう仕向けられ、子どもを育てるのに叱ってはいけない、マイホームは楽しく、等々がゆきすぎて厳しい躾が必要な子どもの時代を、飼い猫のような状態で過ごさせてしまっているのではないでしょうか。
利口な人間にしようと思ったら愛情を込めて、子供達のいやがる事、苦しい事何でも厳しくやらせるようにしなければいけないですね。
どうぞ猫可愛がりにならないよう、心を鬼にして子供達を厳しく育てましょう。そうすれば彼等が大人になった時、充実した楽しい一生が送れる事は間違いないのですから。 【K】(1995.9.25.掲載)
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