才能教育研究会ピアノ科




コラム : 心の故郷 “PINGU”
投稿者: river 投稿日時: 2010-3-31 3:11:37 (1137 ヒット)


可愛いペンギンの『ピングー』のビデオをお正月休みに見ました。孫の2才と3才の子ども達と飽きずに同じものを何回も何回も見てしまいました。知らない人はほとんど無いと思いますが、ピングーについて説明しましょう。

 ピングーは、クレイアート(粘土細工)で制作されたアニメーションです。ピングーは男の子のペンギンです。妹はピンガ、両親と一緒に南極に住んでいることになっています。ピングーの一番仲良しはアザラシのロビ君、その他のお友達やガールフレンド、年をとったおじいさん等々、家族やまわりの状況は私達の身の回りの人達と同じような構成です。そして毎日の生活の中の出来事が短いお話になっています。

 原作者のスイスのアーティスト、オットマー・グッドマン氏は「私の子どもの時代に本当にあったことで、日常の生活の中の出来事や経験をお話にしました」と言っています。

 そしてとてもユニークなのは言葉が、どこの国の言葉でもないペンギン語なのです。 私達にペンギン語は分からないはずなのに? それが不思議! 何を言っているのか全部分かるのです。

 そしてその上、画面のペンギンさん達やアザラシのロビ君などの気持ちや心が見ている人に温かく伝わってきます。 面白い事に2〜3才の子ども達にもしっかりストーリーが分かるのです。「今、こう言ったのよ」と説明してしまう子どももいます。 何回も見せてと頼みながら身につまされるのか「叱られてるのは、止めて」と言います。

 本当に楽しいクレイアートのアニメーションです。 まだ見ていない方は是非見て下さい。 大人だって本当に楽しいんです。


 私はこれを見て人間は世界中どこの国の人だって人間としての基本の気持ちは同じ、子ども達のために愛情いっぱいで色々やってあげようとする親の気持ちも同じ、子ども達が育っていく中で考えたり感じたりすることや、友達との付き合い、いたずら等みんな人間の心は世界中同じなんだ! と強く感じました。 だから無駄な戦争などしないで、みんなで仲良く平和に暮らさなければいけないと思います。

 そしてスイスのチューリッヒから20キロ程離れた、ルシコンという自然の田園風景の広がる素敵な場所で、8人のスタッフが心を込めてピングーのアニメーションを作っていることに感動しました。
アニメーションですから、ピングーが歩くための足の動きを撮影するのも大変な時間がかかっています。「一秒の撮影に一時間かかる。 常時、1500位のお人形を使っているが大きさがほんの少し違っても画面がブレてしまうため、一体々々作る時、細心の注意を払って作らなければいけない、家具等もヨーロッパの伝統のある芸術性の高いものを参考にしている」等々・・・。

 何しろ、10年間に30分ほどのビデオ20本しか作っていないのです。 心のこもった一流のものを作るには、愛情と細心の注意を積み重ねなければいけないと、ピングーに教えられた気がします。

そして素晴らしい作品はいつも見た人を幸せにします。 人はそれぞれ心の故郷を持っていて、忙しい生活の中で折りにふれ、そのふるさとの何かを見たり聞いたりした時、人間の原点に帰れて幸せな気分を味わうことが出来るのです。

 芸術は何の分野でも同じです。 ピアノの曲も演奏した時、自分も聴いて下さった人達も幸せに出来るような良い演奏をしたいものです。 それには毎日の練習の時、時間をかけ細心の注意と忍耐と努力を忘れずに良い勉強を繰り返すよう心掛けなければいけません。 【K】(1997.3.3.掲載)

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