才能教育研究会ピアノ科




コラム : 続・芸術の教育
投稿者: river 投稿日時: 2005-6-29 22:41:32 (917 ヒット)

アメリカへ来て感じること! 毎回々々同じ事を感じます。
それは、子供達がのびのびしていることです。日本人には考えられないような広々としたスペースで生活しているせいでしょう。両親の考え方も柔軟性があり、細かい事にこだわりません。

アメリカだけでなく、4月に行ったオーストラリアでもそうでした。音楽を学ぶ時、ひとつの楽器だけでなく、ヴァイオリンとピアノ、ピアノとフルート、それにバレエそして合唱と、ごく自然にいろいろなものを楽しんでいます。両親が子供の教育は学校の勉強だけではなく、芸術がいかに大切かをよくよく知っているのです。

日本人は狭いところにぎゅうずめに生活している為でしょうか、新しいことを始めたり、何かを勉強する時、細かいところまで本当に一生懸命に熱中します。スズキメソードでも、子供が幼い時から小6ぐらいまで、親が本当に一生懸命です。(悪い事ではありません。良い事です。特に日本では小学校の間がまだ時間に余裕がありますから、この時に音楽のすべてを身につけることです)

北アメリカでも、一生懸命になる親もいますが、平均して日本のように過熱しません。のんびりと楽しんでやらせています。曲の進み方はとてもゆっくりです。ところが、子供達が中学生になると、自分から進んで好きな楽器を一生懸命努力して練習し始めます。すると急に考えられないほど上手になります。上手になると自信を持って、いよいよ勉強しますから少しの間にみちがえるようになります。それから先は、本当に本人が音楽を楽しみ、芸術を身に付けた一人の豊かな人間として育って行きます。

日本は小学生の間、一生懸命努力して、中学生になると本人の意志でなく、まわりの社会的な環境のために芸術などに目を向けられなくなり、親も受験ばかりを気にしはじめ、せっかく育ってきた大切な芸術の芽をつんでしまうようになります。

日本の中学生でレッスンを続ける生徒達は、音楽が本当に好きで、練習する時間と音楽に関心を持つ環境がなくなっても、どうしても「音楽から離れたくない!」と感じている子供だけが続けているような気がします。本当は一番、すべてにのびる事が出来る時期なのに、学校だけに偏ってしまっている日本の子供は本当に可哀想です。

学校の勉強、勉強と、毎日忍耐と努力を重ねる事は決して悪い事ではありません。事実、日本人は忍耐・努力・集中力を育てたため、自動車でもコンピューターでも、戦後ほんの2、30年で世界一に並べられるような良い製品を作り、経済大国になりました。この辺で上に立って指導する人々(親も)が、芸術の問題を考えなければいけない時ではないでしょうか!

北アメリカは、のびのびした良い環境でのびのびしているうちに、うっかり行き過ぎて怠け者になる危険性を持ち、日本は努力しすぎる為に何か一つに偏ってしまうという危険性があります。

ここ20数年、方々の外国を見るチャンスに恵まれ、人間の生活習慣は住んでいる土地の気候風土にとても影響されて出来ていると分かりました。それですから、他の国の習慣をそっくり真似ることは、無理だという事も良く分かっていますが、基本的な人間の問題としてなら、他の国の良い部分を学び取る事が必要だとつくづく思います。

 芸術は人種の違いを越え、国々の言葉の異なる障害を越えて、人の心と心を通じ合わせる事が出来ます。素晴らしい最高の演奏を聴くと、世界中の人々が誰でも心を揺さぶられ、感動します。どうしてでしょう?それは、神が人類に与え下さった最高の幸せだからです。【K】(1992.6.23.掲載)

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