才能教育研究会ピアノ科




投稿者: river 投稿日時: 2010-3-9 3:27:07 (913 ヒット)


 ある日テレビのスイッチを入れてみると、海辺の小さな島を一人の年をとられた日本画家がその島の反対側の岩場の上で写生をしておられました。

 そこは確か日本海側の(島根県?)海岸であまり人の来ない静かな自然の残っている所のようでした。その写生は1〜2回などではなく、早朝、昼、夕方と何日も何回も続けられます。クレパスの茶色の一色で描かれたり、次には黒で描かれた上に色彩したり、色々の方法でなされていました。


 泊まって居られる宿でその下書きの絵を見せて下さいました。小さいものから大きいものまで驚くほどの何十枚もの数でした。「こうやって仕事をする時は家庭から離れて一人で旅をして気を集中してやるのです」と言われました。

 音楽と絵は同じ芸術の世界のものですが、一枚の絵を仕上げていくのにあのように朝から晩まで何日も何ヶ月もお天気の良い日も雨の日も現場へ通われて自然を観察し、あのように細かい努力の積み重ねをしているのを見て、ピアノ音楽でも一つの曲を仕上げるのに、同じような基本的な問題を一つ一つ部分的にゆっくりした練習を積み重ねる努力をしなければならない事を思い、何でも良い仕事をするには細かいところまで充分に注意し練習を積まなければいけないのだと思いました。

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投稿者: river 投稿日時: 2010-1-9 2:59:49 (1063 ヒット)



一人の人間の値打ちを今、日本ではどうやって決めているのでしょう?

まず子どもの時代ですが どう考えてみても学校のテストの成績で決めていると思われます。

 日本の国では子どもは生まれて6才になると学校へ行って、読み書きを習う事が出来るようになっています。江戸時代が終わって明治天皇の時代に入った時、国民全員が文盲にならないよう学校の制度が作られたと聞いています。

 字が読めて次第に高度な文章も理解出来るようになる、そして、自分の考えを書くことも出来る・・・ これは素晴らしい事です。住んでいる世界も広がります。お互い人と人との交流も深まるでしょう。自分の研究を世界中の多くの人に伝える事も出来ます。

 学校で読み書きを習うのはこういう事のためだと思うのですが、いつの間にかテストの点が良い人だけが立派な人間だ・・・という風潮が出来上がってしまい、子ども達はそれに苦しめられ又、歪められているような気がしてなりません。

 人には生まれた時、天からいただいた性格の特長があります。記憶力の得意な人は学校のテストにはとても有利でしょう。思考力の強い人は頭の中でいろいろ考えて、ものを想う事が得意です。

 発明王と言われたエジソンは小学生の頃、授業時間中は大人になって発明した色々のものを空想していて、学校の勉強は何も聞いていなかったので成績はビリで、先生から「お前の頭はくさっている」と言われたそうです。

 超有名だったピアニストのホロヴィッツも小学生の時、学校の成績はビリでした。彼はその頃からいつも頭の中は音楽で一杯で、学校の勉強は何もしなかったと言っています。それでもエジソン、ホロヴィッツはそれぞれの分野で人々に大きな影響を与え、偉大な贈り物をしてくれた素晴らしい人々です。

 どうやら東洋では(日本・韓国・中国)孔子様の儒教の影響もあって、学校で良い成績をとり、良い大学へ入って官吏になるのが親孝行という思想がどうしても根底にあるような気がします。

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投稿者: river 投稿日時: 2009-12-24 2:49:49 (1222 ヒット)


 ピアノのレッスンの中で出来ないところを出来るようにするには練習が必要です。

 その練習って何でしょう? と考えてみたことがありますか?

 ピアノのレッスンに行くと先生から「よく練習しましたね」「ここは練習が足りないね」「来週までに沢山練習して下さい」とか言われます。生徒の方も言われるまま「ハイッ」と元気よく返事をしてしまいます。

 でも一口に練習といっても、練習にはいろいろ種類があります。まず大きく分けると『良い練習』に『悪い練習』です。

 『良い練習』は具体的にどこをどういう風に直すか決めて、そこを集中力と細心の注意を払って聴きながら練習する事です。自分が出している音が、音楽の音か、ノイズかを聴き分けながら体が不自然にならないように体のバランス・コントロールに気をつけて、時間をかけて一生懸命繰り返しするのが『良い練習』です。これを毎日繰り返せば出来なかったところが上手に出来るようになります。

 私は思うのです。人は何かをする時それが『出来る』又は『出来ない』と、どちらにでも思い込む事ができます。それですから仕事をする時、どちらの心の状態で始めるかが問題です。

 仮に「出来ない」と思える人は、練習を始める時「私は出来ない人だから注意しなくてはいけない」と心構えを作ってから始められるでしょう。そしてこの人は一つ一つ注意をして仕事をします。そして毎日たくさん注意をするので注意する能力が育っていきます。

 もう一つの「出来る」と思い込んでいる人は「私はもうこんなこと出来るんだ」という心の状態で練習するので、すべて「不注意」になります。同じ時間を使ってもこれでは不注意、即ち乱暴に弾く能力を作ってしまいます。

 例えば、左手の伴奏でよく使うドソミソです。これは左利きの人は別にして、右利きの人にとってとても難しいものです。
 一見、ドソミソはやさしそうに思え、ピアノを弾いている人のほとんどが『私はドソミソを弾ける』と思っています。多分、疑う事もないでしょう。

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投稿者: river 投稿日時: 2009-11-30 4:39:39 (1268 ヒット)



 ある日ピアノのM先生が「この本、先生がいつも言われているような事が書いてありますよ」と春山茂夫氏の『脳内革命』という本を持って来て下さいました。

 それはとても分かりやすく読みやすい本でした。

 簡単に説明すると①何でもストレスが体には一番悪い。いやな事は考えない。いつも美しいものや楽しい事を想い浮かべて瞑想する。そうすると右脳から脳内モルヒネがたくさん出て、体の調子がすべて良くなる。人間本来、病気をするようには作られていない。この①の他に②軽い運動、③新鮮なものを食べるように気を付ける等々、この三つを心がければ人間150才まで病気をせずに元気で生きていられるはず・・・というものです。

 やっぱりそうなんですね。人間いつも左脳の知識で生きるのではなく、右脳の感性を使って生きていればすべて間違いがないのです。

 勿論、知識も大切なもので、沢山あるにこしたことはありません。でも心も体もリラックスさせて、いきいき生きるには右脳がとてもとても大切な役目を担っているのがよく分かります。

 では、右脳をいつも使える習慣をつけるにはどうしたらいいのでしょう?
それは私達がピアノ音楽を通して、いつも子ども達に教えようとしている事なのです。常に美しい音楽に接するようにして、美しい物を美しいと思える心を幼い時から育てなければいけないのです。

 人間は本来、自然に美しいものを見たり、聴いたり、気持ち良い香り、美味しい食べ物、心地よい感触のものに触る事、みんな分かるようになっています。でも今の時代は、かなり子ども達のまわりの親・先生が気を付けてあげないといけません。

 身の回りにいろいろ不自然な悪いものが転がっています。不自然な悪いものと付き合っていると、昔の人が『朱に交われば赤くなる』と言ったように、いつの間にか生まれつき本来の感性が損なわれて美しい本物が『美しい』と分からない人間が育ってしまいます。

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投稿者: river 投稿日時: 2009-10-28 3:07:42 (1132 ヒット)


 先月、ピアノの勉強を始める時いかに初体験が大切かを書きましたが、ピアノだけでなくこれは何を始める時にでも言えるのではないでしょうか。

 昭和30年代の頃、松本音楽院にはとても素晴らしい絵の先生がいらっしゃいました。 お名前は月草道子先生です。鈴木先生の子ども達の育て方に共鳴され、音楽院の中に絵のお教室がありました。
 我が家の子ども達もそれぞれ二才から教室へ通わせていただきました。

 月草先生は、子どもが最初に絵を書く時には絵の具と筆を使わなければいけないと言われていました。鉛筆や色鉛筆は堅いから駄目です。そしてお家ではやわらかいクレパスを使って下さいと教えて下さいました。

 それと、親が決して物の形を書いて与えてはいけない(例えばこれ自動車、これお花、これお家等々)。もうひとつ「ぬり絵」も絶対に駄目です。あれを与えると形を書く意欲がなくなってしまいます。と言われました。私はその通りやってみました。

 今になって考えてみると丁度ピアノのテクニックと同じで、始めに堅い指で堅い音を習ってしまうと、手・腕に鍵盤と堅い手がぶつかったショックを体が覚えてしまいます。そしてなかなか力を抜いて筆のように柔らかい指で音楽的な良い音を作れなくなってしまいます。

 絵もきっと同じで筆から始めればその子どもが思っている事を素直に表現する事ができるのでしょう。
 それでもう一つ他の事を思いつきました。毎日書いている字のことです。

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