才能教育研究会ピアノ科




投稿者: river 投稿日時: 2005-12-13 1:42:40 (1107 ヒット)


 前回も書きましたようにピアノという楽器は、多声部を一人で右手と左手を使って弾かなければなりません。それで正しい読譜が大変重要です。人間は手が二つ、指が五本ずつですから、二声から三声四声となると、目で楽譜を見て音符を正しく理解すると同時に、それを正しく音にするには高度のテクニックが必要です。

 ここで世の中の人は一つ大変間違った考え方をしている事に気が付いてほしいのです。そしてこれは、読譜だけではありません。すべての事に共通する問題です。

 それは「頭で解る」事と「出来る」という事が混線して考えられ「どちらも同じなのだ。頭脳が解った事は当然出来るのだ」と勘違いをしています。ところが頭で物事が解る即ち知識があるという事と、それが実際に体を使って出来るという事は全く違った時限の問題です。

 どんなに沢山の知識が頭の中にあっても、それが全部出来る人など、どこをさがしてもいません。その反対に知識がなくても出来る事は沢山あります。子供の時代はほとんど何をやるにも「出来る」方でやっています。

 母国語を三才になれば自由に話し、文法的に現在も過去も間違えずに使えるでしょう。しかし子供達は文法の知識など全然持っていません。日本人の大人は英語を勉強して知識は沢山あるのですが、それを全部使う事が出来るかは疑問です。すべての事にこの違いがあてはまります。

 読譜も同じです。音楽学校を卒業しているピアノの先生方(世界中の)でも、勉強されたのですから知識は豊富ですが、実際に正しくそれを音にする即ちピアノを弾くという事になるとほとんどの人が正しく弾く事が出来ません。

コラムの続きを読む... | 残り2936バイト

投稿者: river 投稿日時: 2005-11-29 2:02:27 (1044 ヒット)


 幼い子供達が読譜の勉強を始める時、松本支部ではメトードローズの本を使っています。理由は楽しい曲が多いからです。前号で言いましたように始めは親が読むのですから普通の本を使って下さい。そしてもし子供が7〜8才で自分で見る場合でも、市販されている幼児用等という譜面を拡大したような本は使う必要がありません。大人より子供の目の方がずっと良いのです。(あれは老眼用です)

 最初は、読譜という本がある。ピアノの譜面台に本を置く。私は今何番をやっている。これだけが分かっていれば充分です。親は少しずつメロディーをドレミファで読んで歌ってあげれば、もう2巻を弾いている子供達ですから、8小節ほどの片手のメロディーは、すぐに覚えて弾くことができます。毎日繰り返し練習して、すらすら弾く事がとても大切です。次の日忘れてしまっていたら又、読んであげればいいのです。

 メトードローズは1巻と同じ程度の曲ばかりですから、覚えて弾いているうちに本と仲良くなってきます。一冊終わるまで何ヶ月かかっても少しも心配する事はありません。但し少しずつでもいいから毎日やるよう努力をして下さい。人は、毎日の積み重ねで能力を作れるように出来ています。

コラムの続きを読む... | 残り2488バイト

投稿者: river 投稿日時: 2005-10-31 22:03:00 (1040 ヒット)


 スズキメソードの素晴らしさは最初に幼い子が勉強を始める時、楽譜を読むことではなく音楽を聴いて覚えて弾いてしまうことです。言葉は世界中どこでもこの方法で赤ん坊から覚え喋れるようになっています。スズキメソードが世界中に広まった大切な要因はこの導入の方法が素晴らしかったからです。

 始まりは成功しました。子供が最初に音楽に入っていく最良の方法が分かったのです。さあそうしたら次を考えなければいけません。勿論いろいろな問題があります。音楽の音の作り方、リズムにどうやってのるか、レガートは、スタッカートは、読譜は等々・・・です。その中で今回は読譜について考えてみましょう。

 他の問題即ち良い音、リズム、レガート、スタッカート等々はどの楽器でも同じでしょう。但し、読譜だけはピアニストにとって大変重要な問題だと認識してもらいたいのです。「幼い時はいいかげんにやって、上級生になってから教えても大丈夫」と言う人が大多数のような気がします。これが大きな間違いのもとです。上級生になってから教えると知識として覚えますが体にはつかないので手遅れなのです。

 ピアノという楽器は旋律(メロディー)だけでなくいつでも多声部を弾かなければならない楽器だから読譜が難しいのです。丁度オーケストラの指揮者のような役割で、指揮をした上自分の指で全部それを音楽にします。(オケの指揮者より大変な仕事?)それですから、楽譜の各パートを常に正しく理解し、即、音にしなければなりません。

 他の楽器(声楽、弦楽器、管楽器)はメロディーだけですから常に伴奏者が必要です。いつも誰かと一緒というのも楽しいことですが、良い相手がみつからない時は大変です。その点、ピアノは一人ですべてやれるし又他の楽器とも一緒にアンサンブルで楽しむ事ができます。

 私はいつも「ピアノは王様の楽器」と思っています。でも王様といって喜んでばかりはいられません。王様ゆえに責任があります。その責任の大きな一つが正しい読譜です。(正しい読譜については次号で説明します)

コラムの続きを読む... | 残り3543バイト

投稿者: river 投稿日時: 2005-9-28 2:27:59 (867 ヒット)


 永禄五年(1562年)以降、尼子の軍勢は毛利との戦いで苦戦をしていた。その尼子十勇士の一人の武将 山中鹿介は、ひとり三日月に向かって祈った。「我に七難八苦を与えたまえ」と。

 中学生だった私は、国語の教科書の中でこの文章を読み、驚いたのを覚えています。「なぜ?」「どうして?」「誰だって神様に祈る時は、良い事がありますように、と幸運を与えられるよう祈るのが当たり前なのに・・・?」この文章はその時の私の心にとても不思議に感じられたせいか、何十年たった今でも忘れられないものなのです。

山中鹿介の一生は、祈った通りに苦難の連続で天正六年(1578)毛利氏に城を攻められ籠城したが敗北し、主君の尼子勝久は自刃。鹿介も捕らえられ殺害されています。
 人間は弱い人ばかりではなく、本当にすばらしい精神力を持った人がいるのですね。

 もう一つ別なことですが何げなく見たテレビの番組で「アメイジング・グレイス」の話を聞きました。この歌はアメリカでずっと歌いつがれ、その昔差別に苦しんだ黒人、また今でもいろいろな苦労に打ちひしがれた人々に歌い続けられ、「この歌によって私はすくわれた」と言う人が一杯いる素晴らしい歌です。

 その番組の中で、ある監獄に収容されている終身刑の人々にインタビューをしていました。なぜかと言うと、その監獄には男性のコーラスがあってその人達はそのメンバーだからです。彼等は口々に「アメイジング・グレイスという歌に出会って私は救われた。なぜか分からないがこの曲を歌うと涙が流れ魂が救われるのだ。私は殺人を始めありとあらゆる悪い事をしてきた。死ぬまでかかってもそれを償う事は出来ないかも知れないけれど、この歌を知って私の心は安らぐ事が出来た」と言います。

 そしてチャペルの中で、牧師さんの指揮でこの歌を歌っているコーラスの人達の顔の何と素晴らしいことか! とても悪い事をした人の顔ではなく、愛情に満ち悟りをひらいたおだやかな人の顔です。私は思わず感動してしまいました。

コラムの続きを読む... | 残り2803バイト

投稿者: river 投稿日時: 2005-8-30 2:56:08 (900 ヒット)


ピアノ科の4人の生徒達(荻原クラス・藤原クラス・片岡クラス)のアメリカ旅行先は、ジョージア州のアトランタ市とカリフォルニア州のサクラメント市でした。

ここで行われる熱心なスズキピアノの先生方のワークショップの中で、フレンドシップコンサートをやってほしいとの希望で呼ばれたのです。それですから、日本の先生の立場としては、良く勉強する生徒を連れて行って、日本の子供はこんなに素晴らしいんですよ! と自慢したいところです。

それでも、諸般の事情を考えるとこちらで選ぶわけにはいきません。小さい子供でしたら、母親も一緒に行ってもらわなければならないし、飛行機の切符の代金は、かなりの金額です。それを、自己負担していただかなければならなかったので、「行かれる人は、誰でもいいです」と言うことで、この4人の子供は決まり、出掛けた次第です。

ワークショップに方々から(ヨーロッパからも)集まったピアノの先生方は、50人以上でした。始まる日にまずアトランタ市の先生方の生徒達百人ほどで、5台のピアノコンサートがありました。なかなか皆さん上手に弾きました。子供達が正しく良く育つ事は嬉しい事です。

そして次の日の夕方5時から、フレンドシップコンサートのリハーサルがありました。私がいつも言う、大切な基本を正しく教えてもらっている生徒がアメリカでも大分育ってきて、コンサートのプログラムの最後は、ショパンのスケルツォの3番です。その他も大分、上級生がいます。

コラムの続きを読む... | 残り2617バイト

« 1 ... 11 12 13 (14) 15 16 17 »

Copyright © 2004 才能教育研究会 松本支部ピアノ科 : WISS inc.