双子というと姿・形が似ているので、つい二人とも何もかも同じと考えがちです。
べリングハムで会った、ルーディー君とジェイミー君も目つきがそっくりの可愛い双子の坊やです。色違いのお揃いのTシャツを着て二人とも元気で、今5才になったところです。
ピアノのレッスンはルーディー君からでした。お母さんがとてもしっかりしている上に、いつも教えて下さっているシェロー・クラフト先生が素晴らしいので、用意の時の姿勢から手の自然さまで完璧です。そしてキラキラ星を本当に上手に弾きます。1の指の親指の動きから、5の指までパーフェクト! と言うほど良い弾き方です!
そして次は「かっこう」から「さようなら」まで右手できれいに弾けるようになっています。
こうやってルーディー君と一緒に勉強していると、彼の性格が手にとるように分かります。彼はとても落ち着いた性格です。私の言う事をゆっくり受け止めて聞き、又ゆっくり私の方をみて“分かった”という表情をして、それから音を出します。ゆっくりですが、とても利口な子供です。
さて次はジェイミー君の番です。前に書いたように母親と先生が最高に良いので、すべてうまくいっています。ただ彼は頭の回転がものすごく速くて、私が何か言うとぱっとすぐ言われた事をやります。その速さは見事です。曲の進み方もまだ右手だけのルーディー君に比べると、もう両手でBook 1のほとんど終わりまでとても上手に弾けています。そしてBook 2に進み始めています。
人間は何をやる時でも、自分の持っている性格を使って行動します。まわりの人が何とか無理をしてそれを変えようとしても出来ません。しつこく変えようとしても駄目です。持って生まれた性格は自分だって変える事は不可能で、まわりの人がそれを変えるよう要求すると、自分の持っている力を充分に発揮出来なくなります。
私は彼等のお母さんに「この子供達は見たところはとても似ているけれど、ルーディー君はすべてゆっくり落ち着いて行動し、ジェイミー君は何をやるのもとても速くて、まったく正反対の性格でしょう?」と聞いてみました。お母さんの答えはこうでした。「まったくその通りです。そして私は、それぞれの性格に合うように勉強させています」
これは素晴らしい事です!
この二人の場合は双子なので同じ日に生まれて同じように育てて、このように性格が正反対に違うという事が誰にでもよく分かりますが、兄弟の場合は年令が離れているので親はつい二人を比べ同じ要求を出してしまいます。特に日本は島国のためか(昔から他の民族が沢山入ってきていない単一民族)全員同じになろうとする要求を民族全体が持っているような気がします。