聖徳太子は皆さんよく知っていますね。 日本歴史の年号等、学問的なことは別にして、ついこの間まで私達は聖徳太子と壱万円札で長い間親しく接してきました。
その聖徳太子のことを、私は小学時代に歴史の授業で習いました。子ども心に驚いたのは「聖徳太子は特別優れた人で庶民が何か生活について訴える時、七人の話を同時に聞いた」というものでした。普通の人は一人の人が言う事でもなかなか理解して聞き取れないのに、どうして同時に七人の人の言うことが分かるのか? その時の私にはどう考えてもただ不思議でした。
ところが何十年も過ぎてこの頃気が付いたのです。良いピアニストはまさに聖徳太子と同じ事をやっているではありませんか!
ピアニストは、まず簡単な二声(ソロと伴奏)から始まって三声〜五声と演奏する時は同時に、いくつもの音、即ち声部を聴き分けなければいけません。そうです、まさにピアノを弾くことは聖徳太子がやった事と同じ事が出来る能力を作る勉強なのです!
それはものすごく高度な集中する能力を作る勉強です。集中して同時に異なる音を聴き取る能力はとても難しい作業で、突然やろうと努力してもすぐに出来るものではありません。一人の子どもが最初にピアノを習い始めた時からこの勉強は始められなければ、その能力を作る事は出来ないでしょう。