「近頃のお母さんはとても優しい」先日中学校のO先生が話して下さいました。「雨が降り出すと、校門の前は子どものお迎えに来たお母さん達の車でいっぱいになるんです。そして校内の電話の前にはテレホンカードを持った生徒達が長い行列を作って、家に電話をかけほとんど命令口調で『迎えに来て!』と言うんです」
私は自分の小学校の頃を思い出しました。それは東京の私立の学校だったので学校に近い人は少なく、みんな電車やバスに乗って通学していました。それでも雨が降り出すと、傘を届けてくる親も少しはいました。
私の家は20分程で歩いて帰れるところでしたが、母はどんなにひどい雨降りでも傘を届けてくれた事はありません。そうなると、小学生でもいろいろ工夫をします。
同じ方向へ帰るお友達に「傘持ってる?」と聞いて「持ってる」と言うと、「お願い! 帰り一緒に入れてって」と頼みます。学校の帰りにピアノのレッスンに行かなければいけない時など、目白駅に着いてから商店街のどこを通れば比較的濡れないか・・・等々、考えたものでした。
そして、朝家を出る時、空を見上げて傘を持つべきか、必要なさそうか、自分で判断したのを覚えています。子どもは過保護にしてはいけないのです。困らせることで、物を考えるようになり自分で責任を持つことを覚えるのです。