才能教育研究会ピアノ科




投稿者: river 投稿日時: 2011-5-26 2:32:21 (722 ヒット)



 「近頃のお母さんはとても優しい」先日中学校のO先生が話して下さいました。「雨が降り出すと、校門の前は子どものお迎えに来たお母さん達の車でいっぱいになるんです。そして校内の電話の前にはテレホンカードを持った生徒達が長い行列を作って、家に電話をかけほとんど命令口調で『迎えに来て!』と言うんです」

 私は自分の小学校の頃を思い出しました。それは東京の私立の学校だったので学校に近い人は少なく、みんな電車やバスに乗って通学していました。それでも雨が降り出すと、傘を届けてくる親も少しはいました。

私の家は20分程で歩いて帰れるところでしたが、母はどんなにひどい雨降りでも傘を届けてくれた事はありません。そうなると、小学生でもいろいろ工夫をします。

同じ方向へ帰るお友達に「傘持ってる?」と聞いて「持ってる」と言うと、「お願い! 帰り一緒に入れてって」と頼みます。学校の帰りにピアノのレッスンに行かなければいけない時など、目白駅に着いてから商店街のどこを通れば比較的濡れないか・・・等々、考えたものでした。

そして、朝家を出る時、空を見上げて傘を持つべきか、必要なさそうか、自分で判断したのを覚えています。子どもは過保護にしてはいけないのです。困らせることで、物を考えるようになり自分で責任を持つことを覚えるのです。

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投稿者: river 投稿日時: 2011-5-8 1:53:42 (651 ヒット)


 私は今から40年近く前(1955年)に松本へ移り住みました。そして鈴木鎮一先生の元で今迄の音楽教育とは全然違う指導法を勉強するようになって、いろいろ考えるようになりました。

 そして気が付いたのは、ピアノを勉強している人は他のどんな楽器より大勢います。そして日本は勿論、ヨーロッパ、アメリカには良い音楽学校がたくさんあり、優秀な生徒が一生懸命勉強しているはずです。その上『ピアノ奏法』なる立派な本はそこらじゅうで出版されています。

 それなのにどこを見回しても正確に間違えないで弾く人は沢山いるのですが、名人上手といわれるようなピアニストはなかなかいません。世界中で考えても名人級の人は10本の指で数えるほどしかいないのではないでしょうか? いくら何でも少なすぎます。

今世紀の初めにはもっと沢山の名ピアニストがいました。(ラフマニノフ・ホフマン・パッハマン・シュナーベル・ランドフスカ・コルトー・バックハウス・ギーゼキング・ハスキル・ゼルキン・ホロヴィッツ・グールド・ルービンシュタイン・ケンプ・グルダ等々)ピアノだけではありません。音楽のどの分野にも名人上手は大勢いたような気がします。なぜ昔は大勢いて今は少ないのでしょう?

 20世紀に入って物質文明がどんどん進みました。日本も太平洋戦争に負けた後、経済が成功したお陰で戦争前よりいつの間にか何でも考えられないほど便利になりました私はこの便利が問題なのだと思うのです。便利に飛びつくたび、その便利のお陰で私達は何かをどんどん失っているのではないでしょうか。

 超特急の鉄道や速く走れる高性能の自動車、高速道路を使うことで目的地に楽に行ける代わりに、自分の足で歩くことを失い、歩いていれば観察できる道端のいろいろのものを見て感じる事も出来なくなってしまいました。

 又学校も立派になり昔の寺子屋のように読み書きを覚えるだけでなくいろいろやって下さるので、親にとって学校は便利なものです。それでも満足できなくなりもっと勉強させてくれる塾まで出来ています。

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投稿者: river 投稿日時: 2011-4-7 1:20:54 (714 ヒット)



 愛とか愛情という言葉は教育の世界で好んで多く使われますが、具体的にはどういう事なのでしょう。愛というものは人間に何をさせるのでしょうか。たくさん使われているわりには漠然としていて分からないと思い、ずっと考え続けていました。

 そして出てきた答えはこうです。愛情とは相手が誰でも自分にとって面倒な何かを喜んでしてあげられることなのです。

 まず手近な例で説明しますと、『お母さんが自分の子ども達におやつに何か美味しいお菓子を食べさせてあげたいと思った時、お店で買って来てしまえば楽なのに、時間をかけて色々面倒なことを一生懸命やって心のこもった手作りのケーキを作ってあげる。又お客様に美味しいお茶を味わってほしいと願った時、お湯加減からお茶碗を温めることから一つも手を抜かないで、面倒なことをいとわずやると心のこもった美味しいお茶ができる。』等々です。

 もっと社会的な問題で言えば、貧しさに苦しんでいる人を少しでも助けようと面倒がらないで何かすることです。みんな愛情がなければ出来ない仕事です。

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投稿者: river 投稿日時: 2011-1-18 3:27:40 (908 ヒット)




世界中どこの国の両親も自分の子どもを、自分の愛玩物だなどとは考えていないでしょう。 誰でも愛情を注いで育て、一人前の人として大人になり立派に独立してほしいと願っているはずです。

 でも日本の親、特に母親は子ども可愛さに生活の中の諸事万端、世話をやきすぎ干渉しすぎるため、一人前の大人になれないような育て方をしているのではないでしょうか。

 日本の親は学校が大切で学校の勉強さえしっかりやって、良い成績をとってくれればもうニコニコで、可愛い息子(母親は特に息子が可愛い!)のためになら何でもしてあげてしまうのです。それですから子どもは自分で何をするか、どうするか考える暇もなく自分で何事も判断するチャンスに恵まれないのです。

 自分で何をどうするか、自分で決める練習は子どもの時からやらなければいけないのです。何もかも甘い母親が決めてやってくれてしまっては、物事を自分で決める事も出来ずしてもらうばかりで、人に何かをしてあげる人間になれないのです。

 こうやって日本の子ども達(特に男の子)は、勉強だけは出来るが心が何も育っていない状態で大人になってしまいます。人間としては障害者です。可哀想にそれは子どもが悪いのではなく、まわりの大人達が悪いのです。

 ピアノの弾き方だけでなく、何を育てるにも最初が大切です。 そして同じように頭の知識ではなく、体に覚えてもらう事を目指さなければいけません。体に覚えてもらうには同じことの繰り返しが必要です。

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投稿者: river 投稿日時: 2010-11-13 3:45:26 (847 ヒット)



 神戸で起こった小学生殺害事件は、犯人が中学生A少年とわかり日本中の人達が衝撃を受けました。最初は、驚きとあまりにむごい事件に『どうして!』とただ暗い気持ちになってしまいました。

でもここ一ヶ月あまりテレビのニュース・新聞などで少しずつ事件の話を耳にしているうちに、殺された子どもも被害者、A少年も生まれてから正常な少年に人間形成されなければいけない段階で、何ものかに間違った方向に走らされてしまった、被害者のような気がしてなりません。

 テレビでちらっと耳に入った情報の中にA少年は、幸せな家庭で育ったとありました。 そうでしょうか? もし、本当の幸せの中で育ったのでしたら、こんなひどい事件が起こるわけがありません。それを裏付けるようにサバイバルナイフを集めるのが趣味で沢山持っていた。 その上、ホラービデオ等もいっぱいあったとあります。私など『なぜ? 中学生がそのようなものを買うお金を持っているのでしょう?』と不可解な気になります。
 
昔からしっかりした家庭では小・中学生に使えるお金等、持たせないはずです。お金は自分の体で汗水流して、努力して働いて初めて自分のお金として使ってよいものです。
 それなのに、このA少年は働かないのにお金を持っていてそれを自由に使っていたことになります。私はこれは不幸なことだとしか考えられません。

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